ストレングスジャーナリストの小保根亜美です。
みなさま、今年も1ヶ月が過ぎました!みなさまいかがお過ごしでしょうか。
今月も、関吉久美の真実をお届けしていきます。
今月のテーマは「自分で決める」。
書道において自分で決めるとは。
さらに、日々の生活においても必要とされる自分で決めるということについて
話を進めていきます。
はじめに
みなさんは、今この時間に何をするか、どのように決めて来ただろうか。
そして、これまで経験してきた職業につくことなど、自分で決めてきただろうか。
おそらく、自分で決めてきた。
だけど、それは心から自分の希望通りだったであろうか?
それとも、こうあるべき、こうしておけばいいなど、
自分以外の意見を踏まえたものだろうか…
先日、関吉先生は小学校を訪問し、小学5、6年生にアート書道教室を実施した。
私も同行させていただいたので、その様子も交えてお伝えしたい。

自分で決めるという機会
小学生へのアート書道教室では、白抜きを表現できる特殊な液体を用いて、
作品作りが行われた。
6年生は、卒業制作となることもあり、予め書道で表現する言葉を決めてきている。
一方5年生は、まだ書く言葉を決めていない生徒もいた。
作業の流れはこうだ。
まずは、白い液体で関吉先生オリジナルのほうきのような手作りのブラシを使って、
模様を描いていく。
次に薄墨を思い思いに広げていく。

それが乾くと、次はいよいよ文字を書いていくという順で行われる。
子どもたちが自由に表現できるところは、
白抜きにされる特殊な液体を塗るところ、
そして薄墨を広げるところ、さらに、どのような文字をどのように書くか。
子どもたちは本当に個性が豊かだと実感させられる。
作品にも、子どもたちの個性が溢れ出る。
一つとして同じものはない。
ぐるぐると渦を巻くようなもの、雫が飛び散ったようなもの、グネグネと描かれた線、
周りにだけもうようを施す子もいれば、真ん中に円を書く生徒もいる。

これらの作品を作る工程において、子ども達は質問をしてくる。
「真ん中に書かなくてもいいんですか?」
「ここだけ塗ってもいいですか?」
「ネコって書いてもいいですか?」
彼女はこれらの問いに対してどれもダメとは言わない。やはりここでもオールOKなのだ。
普段、子どもたちは学校という決められたルールの中で活動している。
どう行動すべきか、先生たちの許可を得て、
良いと言われたことをしている場面もあるだろう。 もちろん私もそうだった。
そんな中、
「どんな言葉を書いてもいいよ」「模様も好きにしていいよ」「書く時の姿勢も好きにしていいよ」と言ってくれる人が現れたら、どうだろうか。
もしかすると躊躇った生徒もいるかもしれない。
同時に、普段カリキュラムに沿って生徒達に指導をしてくれている先生たちにも
戸惑いがあったかもしれない。

だが、こういった機会を持つことは子どもたちにとってとても大切なことだと感じる。
いろんな大人がいるということを知る機会になったはずだ。
「どちらでもいい」し「どちらを選んでもいい」という、
さまざまな選択肢があることを知った上で、自分で決めること。
そんな機会を提供することを決めた先生たちの行動を尊敬すると共に、
その場に同席できたことが心から嬉しかった。
大人でも同じである
このように、自分で決めるという考えは、彼女の大人向けの書道教室でも
同じことが言える。
彼女の教室のゴールは、
「0から生み出した自分の作品を自分で評価できるようになる」ということ。
どんな作品を作りたいかを門下生自身で決め、 自分で作品を作り、
自分でその作品を評価する。
イメージが固まった上で、それを実現するための技術を彼女は伝えている。
筆の使い方、墨の配合、レイアウト——こういった技術的なことは、
何を聞かれても答えられるだけの経験や挑戦を彼女はしてきてる。
水と墨でそのイメージを実現するためにどうしたらいいのかを、
論理的にわかりやすく伝えることは彼女の得意分野だ。
だが、どんな作品を作るか、その作品の評価をするのは門下生自身なのだ。
作品展示会の一つの楽しみ方
3月には銀座において、彼女の門下生の作品展示会がある。
彼女の門下生の作品は、実にさまざまなのだ。
どれ一つとして似たものがない。
なぜなら、自分たちが決めたそれぞれのイメージに合わせて作っているから。
本来、人は皆、考えていることが違う。
いろんな人がいて、いろんな考えがある。 そのどれもが素敵なのだ。
ぜひ、門下生それぞれが決め、
それぞれが評価した作品を見てほしい。
そして、その中であなたが好きだと思う作品はどれだろうか。
ぜひ、自分のお気に入りを見つけてみてほしい。
あなたが「好き」と思うものを、あなたが決める。
そんな事を頭の片隅におきながら、作品展示会をみるのも、
一つの楽しみ方かもしれない。
さらに、もし気に入った作品があれば、ぜひ購入してみてほしい。
アート作品を購入する体験も貴重なものだ。
アート作品を誰の許可も得ずに自分で買うと決める。
どの作品にするかを決める。
そもそも、その日その時間に、足を運ぶことを決める。
これも一つ一つが、自分で決めるという体験の連続だ。
誰かが「いい」と言ったものを買う。 それでもいい。
誰かの意見を聞いて、その通りにするのも良い選択なのだ。
なぜなら、それは人の意見を聞き入れることができる柔軟性を持っているとも言えるから。
さらに、自分で決めなくとも、決めてくれる人がそばにいるということ自体、
素晴らしいことだということに気がつく機会でもある。
自分で決めることもできるし、 他人に決めてもらうこともできる。
そのどちらもあることを知った上で、自分でどちらにするかを決める。
購入した作品をどう扱うかも、あなたの自由だ。
飾ってもいい。 どこに飾るかを決めるのも自分。 飾らなくてもいい。
彼女の言葉に、私は驚いてしまった。
「買った後、それをどう扱ってもらおうが、私には関係ない。開けなくたっていい。それを買う時がピークでしょ。その作品を見て、欲しいと思った、それが答え。それでいい。」と。
たくさんある作品の中から、自分が気に入った一つを選ぶ。
その経験自体にも価値がある。
選ぶ瞬間の興奮、それを手に入れる高揚感、
それこそがアートを楽しむ一つの形なのかもしれない。
ぜひ、自分のお気に入りを、自分で買うと「決める」体験をしてみてほしい。
そして自分で「決める」ことによる満足感、幸福感を感じていただきたい。
最後に
今後、彼女はある作品を作り上げる予定だ。
とある言葉を、さまざまな表現で仕上げる。
同じ言葉を書き続ける。それも自分の言葉だ。
そう彼女は決めた。
細い文字もあれば、太い文字もある。
大きい紙の作品もあれば、小さなものもある。
それは日本語かもしれないし、英語かもしれない。
あるいは文字とは認識できない作品もあるかもしれない。
そんな関吉久美の作品たちの中から、あなたはどの作品を選ぶだろうか?
全て書かれている内容は同じ。
言葉の意味は同じ。
だけれども、白と黒で表現される文字の形、色の割合が異なる。
あなたはどれがお好みだろうか。
まずは3月の銀座の作品展示会にて、門下生が思い思いに仕上げた作品を見て、
あなたはどの作品に心が踊るのか、確認してみて欲しい。
どれを選んでも、いいのだ。決めるのは、あなただから。
ここで、関吉さん本人からのアンサーをご紹介します。
【関吉久美のアンサー】
「AとBとCなら、どれが良いですか?」という問いなら選べる人が多い。なんなら「選ぶ」という行為を楽しめる。つまり、選択肢を与えられたら選べて、決めることができる。
一方、何も選択肢が無く、だだっ広い原野にポーンと放り出されて「さあ、何を選択する?」となれば「決める」のが難しくなるのだと思う。亜美さんの記事にもあったように私は私の門下生たちには自ら「決める」ようになって欲しいのだか、全く選択肢が無い状態で「先生、どうしたらいいでしょう…」は私も困る(笑)。あなたがどうしたいか。だから選択肢を設ける。例えば私が思いつくA、B、Cの3つパターンを設けてトライしてもらう。トライしてもらってから門下生に選んでもらう。すると必ず2つは「ダメだ。良くない」ということになる。この「ダメだ。良くない」を経験したくないという意識が良くないと思う。多数ある選択肢のうちダメなものを除外する。それを繰り返していくと自分の理想たどりつく。「ああ、ダメだ、これは良くない」を是非積極的に繰り返して欲しい。只今絶賛関吉も「ああ、ダメだ、これは良くない」の嵐に見舞われている。落ち込む。積極的に。
銀座で行われる作品展示会の詳細はこちら。
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