【連載】vol.15 失敗したい
- 小保根亜美

- 11月7日
- 読了時間: 7分
日々寒さを更新していく時期ですが、みなさま体調を崩されたりしていないでしょうか。
今日も記事をお届けしていきます。
今月のテーマは…失敗したい
今回は、前回の記事の続きです。
この記事の最後には、今後のお知らせもございます!
ぜひ最後までご覧ください!
はじめに
この10月のJAPAN EXPOに向けて試行錯誤を重ね、時間と労力を使ってきた久美さん。
改めて、久美さんが会社を作った原点が、書道作品の販売であることを確認した上で、
今後はどんなことをやっていきたいかも伺いました。
これからの展望
Q.久美さんのお仕事の進め方として、理想の状態はどのような感じですか?
A.今はJAPAN EXPOに向けて、海外の人に売れる作品を用意している。
書道の王道作品というか、普通の書道の作品。
百人一首とかの作品がね、「どうせ」見たいんでしょう、と思いながら書いてる。
でも今後は、いままでにやってないことをして、
見たこともないものを作って、
失敗したい。
新しいことを、思いつきたい。
私の得意なことはわかってる。
私の得意なことは、細い文字で、書くことなんだよ。知ってる。
もうなんも考えずに書けちゃう。
世間が求めてることが、これだってこともわかってる。
だけど、
これ以外の方法で、新たなやり方で、売れる作品を見出したいの。
売れなければ意味がないんだよね。
前回も言ったけど、売れなければ意味がないの。
まだ誰もやっていないやり方で、売れる作品を作りたい。
Q.今まで、売れる売れないとか、誰かに見せたいとかを無視して、
自分の書きたい作品を書いたことありますか?
A.無い。
ただ書きたくて書いてるってことはない。
常に、売るために何を書いたらいいんだろうって考えて書いてきた。
自分の書きたい作品を書くなんて、考えたこともない。
「どうせ売れないじゃん」とも思ってる。
そもそも、書道のものって売れない。
不本意だけど、何かしらの理由をつけないと、立派な額縁に入ってるとか、
誰かの名前の文字が入ってるからとか、理由がないと売れない。
だから、流行りのドラマのものとか、
どうせこういうのが好きなんでしょって思うのものを書いてる。
そして、それが実際に売れている。
書道はやはり文字を書くから、意味が発生する。
だから、みんな理念とか意味を持ったものを買いたがる。
だけど私は見映えがいいものを売りたい。
見映えが良くて売れる書道を開拓したいと思っている。
書きたいものを書く
Q.書きたいものを書くってやりませんか?
A.えーーーうそーーーーまじかよーー。
あーでも、あるわ、書きたくて書いた作品。
奥にあったのを引っ張り出してきて、
それをJAPAN EXPOに持っていくよ。
少し文字を足したけどね。字を書きたくなかったけど。本当は字なんてなくてもいい。
でもこれはやりたいことに近いかも。
これはやりたい。
誰かに向けたとかではないし、社会に迎合してもいない作品。
Q.これが売れたら、「書きたいものを書いた作品が売れる」という証明、実績になりますね。
A.まぁそうだね。
わーでも厳しいよね。無理なことに挑んでるのはわかってる。
これまで日本の市場に乗っていないんだから。
乗ってないってことは、そういうこと。
私は高校の社会の先生もやっていたけど、同時に習字の先生もやっていて。
社会の先生は、他にもごまんといて、優秀な先生もいる。
だけど、習字を仕事にしている人はいない。
だからやっている。
好きなことを続けてたら、仕事になるよってことも、
習字を教えている小学校の生徒にも伝えた。
そしたら驚かれたけどね。
強みと挑戦
Q.誰もやっていないことに挑戦するのって、勇気がいりませんか?
A.あ、そう?え?いや全然。
多分、私「うまいやり方を見つけるのが得意」なんだと思う。
初めて言葉にしたけど。
そして、誰もやっていないやり方を、見つけられるんじゃないかなと
思ってるんだと思う。
新たなやり方で、売れる作品を作りたいんだよね。
売れなければ意味がないから。
ただやりたいことやって、売れたらいいな〜って、
それは仕事って言わなくない?
商売ってそんな甘いものじゃないでしょって思ってる。
Q.芸術作品として、書きたいものを書いて、売れたら最高じゃないですか?
A.そっか〜。じゃあそれやってみようかな。
うわー書きたいものを書くのかー。
ものすごく抵抗を感じる。
でもだからこそ、それもやってみるべきなんだろうな。
今まで自分の好きを意識したことないから、
自分の書きたい作品を書いて、満足のラインがどこになるのかわからない。
まぁここもやってみてだね。
これまではちゃんと売れるために、色々考えてきたから、
売れるための書道作品の基準ならわかる。
だからこそ、「〇〇の方が」って考えちゃう。
こっちの方が売れる、人目に付く、人気がある、と。
でもこの「〇〇の方が」も、「こっちの方が私は好き」で選べばいいんだよね。
この整理が大変だなって思ってる。今までやったことがないから。
そっかー。
そして、きっと満足できないこともわかる。
だけど、広い場所を借りて、大きな紙に、でっかい筆で書くわ。
裏打ちも出すよ。高いけどね。
だけどやるよ。
この抵抗も、必要な感情だとわかってる。
今更、書きたいものを書くなんて、変な挑戦だよね。
でもやってみないことには色々言えないもんね。
師匠からの言葉
Q.うわ〜11月以降楽しみです!!
A.そうかな。
あとね、わたしの書道の師匠とこの前電話で話したんだけど、その時にも言われたんだ。
電話をした目的は、自分の生徒さんへの伝え方の相談や、
JAPAN EXPOへの出店の連絡がメインだったんだけどね。
そうしたら言われたの。
「そんなに難しく考えないで、まだ若いんだから、パッと勢いでやればいいのよ。
どんっと筆を置いてさ」って。
つまり、「考えすぎよ」って言われた気がした。
海外で販売のために出店なんて、今までの生徒さんはおろか、
師匠の師匠もしていない。
そんなことをしている久美ちゃんなんだから、
あなたのやっていることはリスペクトしているよと言われた気持ちにもなった。
自分で自分を認めて、やっていけばいいのよってね。
Q.この師匠のスタイルが、久美さんの「オールOK」の原点なんですかね?
A.それもあるかもね。
でもね、100%全肯定の人とは受け取ってないよ。
だって教えがあったから。
でも、なんか、こんだけやれてんだから、なんで私に聞くの?っていう感じかな。
尊敬してくれているという感じ。
人の意見をリスペクトしていたら、「なんで?」とか「違う」とかないよね。
…そっか、わかった。
11月からは、自分の書きたい書を書いてみる。
ありがとう。
さいごに
いつも感じるのは、株式会社フィンセントの代表としての関吉久美と、書道家・芸術家としての関吉久美の葛藤。
経営者としての関吉久美が、芸術家としての関吉久美の才能の解放を止めているのではないかということ。それと同時に、芸術家関吉久美の才能の更なる開花を待っているとも。
ここから新たな領域に足を踏み入れる関吉久美さんの挑戦は、
今後別の媒体にてお送りしていきます。
今後の活動もぜひ、こちらのメールマガジンへご登録してご覧ください。https://home.tsuku2.jp/merumaga_register.php?mlscd=0000284276
今後は1ヶ月に1度のペースで、記事をお送りしていきます。
どうぞお楽しみに!!
ここまで1年間、記事を読んでくださってありがとうございました!!
今後はフィールドが変わりますが、変わらずに、ご愛読いただけますと幸いです!
最後に、関吉さん本人からのアンサーをご紹介します。
【関吉久美のアンサー】
今後は、「新しい書き方」に挑戦していきたいです。純粋に私がやりたい書き方で。私が「わ!これは好きだ!」と純粋に思えるものを生み出したいです。そのためには「試して失敗」を繰り返したいです。失敗したいです。失敗って、やってみた人にしか起こらないんです。早く失敗したいです。失敗をするための準備中です。さて、書く時間を確保しなければ・・・いつになるかな・・・





コメント